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【未公表裁決】騒音により利用価値が著しく低下している宅地として、10%の減額ができるかどうかについて争われた件




結論

令和2年6月2日採決 大裁(諸)令元第58号

10%減額した評価額が相当であると判断された



請求人の主張ポイント

・本件 線路近くの土地において、列車の騒音測定したところ79.5~85デシベルの騒音が計測された。

・第二種居住地域の環境基準値 55デシベル

・固定資産税評価額には鉄道騒音による0.90の補正率が適用されている。


原処分庁の主張ポイント

・固定資産税評価額の補正をもって取引金額が影響されるとは言えない。


根拠

国税庁のHPのタックスアンサーに次のように記載されています。


利用価値が著しく低下している宅地の評価

 次のようにその利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて、著しく低下していると認められるものの価額は、


その宅地について利用価値が低下していないものとして評価した場合の価額から、


利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10パーセントを乗じて計算した金額を控除した価額によって評価することができます。


ただし、路線価、固定資産税評価額または倍率が、利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合にはしんしゃくしません。


❶道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの

❷地盤に甚だしい凹凸のある宅地

❸震動の甚だしい宅地

❹1から3までの宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害(建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるものとします。)、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの


【参考】国税庁:No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価


判断

1 要件 

10%減額が適用されるための3つの要件


❶路線価に騒音要因のしんしゃくがされているか

❷騒音が生じているか

❸騒音により取引金額に影響があるか


2 騒音に関する公的基準


❶騒音に係る環境基準

主として居住地域においては、昼間(6時から22時まで)は55デシベル以下、夜間(22時から翌6時まで)は45デシベル以下


❷在来鉄道騒音指針

昼間(7時から22時まで)は60デシベル以下、夜間(22時から翌7時まで)は55デシベル以下


3 総括

1 要件の検討

❶近隣路線価と比して騒音のしんしゃくはされていない

❷騒音測定マニュアルの準拠して鉄軌道中心線から12.5m及び25m地点付近の測定で基準値を上回ったこと

❸固定資産税評価基準によれば、鉄軌道中心線から30mの範囲内の土地については価格低下の要因となっていること


よって、

10%減額して評価することが相当として、原処分の全部を取り消すこととしている。


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