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取得費加算

取得費加算の特例とは?

払った相続税で節税?

​相続後3年10ヶ月以内に売却

​更正の請求は5年じゃない❔

1 相続税の取得費加算とは?

取得費加算

 相続した不動産や株式などの財産を売却した場合も、通常の売却と同様に利益が出た場合は、確定申告が必要となります。
 取得費加算とは、相続後3年10カ月以内に相続財産を売却した場合、譲渡所得の計算上、相続税の一部を取得費に加算することができ、税金が軽減される特例です(措39条)。

  要  件 
 相続税の取得費加算を適用するためには、下記の要件を全て満たす必要があります。

■その売却した財産について利益が出ていること
■その売却した財産を相続等により取得していること
■相続税を払っていること 
■相続開始日の翌日から3年10カ月以内に売却していること
 

 注意 空き家の3,000万円控除とは併用不可

取得費加算の計算

取得費加算の計算式は、下記により計算します。
計算された取得費加算の額は、譲渡所得の計算上、取得費に加算されますが、その譲渡された財産の利益を限度としているため注意が必要です。
したがって、損失の場合は当然適用できません。

 取得費加算の計算式  

取得費加算の計算式

  具体例 
 相続税          630万円

  1. 相続税の課税価格  9,800万円

  2. 債務葬式費用     200万円​

  3. 譲渡した財産の価額 5,000万円

  4. 取得費加算額     315万円

取得費加算の計算例
取得費加算の添付書類

相続税の取得費加算の特例を受けるためには、税務署へ下記の書類を添付する必要があります。 
 添付書類 

■相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書

■譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

 取得費加算の計算明細書の記載例     

取得費加算の計算明細書の記載例

 注意 
 贈与税額控除や相次相続控除を受けている場合は。実際の相続税とは異なりますので注意が必要です。 

 また、贈与税額控除や相次相続控除を受けて相続税額が0円となり、相続税の申告書を提出していない場合は取得費加算を適用することはできません。
 
したがって、相続相続財産を売却する予定がある場合は、上記控除があり相続税申告の提出が不要な場合でも、取得費加算を見込んで相続税の申告書の提出を検討する必要があります。

 贈与税額控除や相次相続控除を受けている場合の記載例

贈与税額控除や相次相続控除を受けている場合

 譲渡所得の内訳書の記載例

 取得費加算の特例を適用する場合には、下記のように譲渡所得の内訳書の②取得費の欄に取得費加算の金額と取得費を2行に分けて記載する必要があります。
(相) 3,150,000円
取得費 3,000,000円

譲渡所得の内訳書の記載例
譲渡所得の内訳書の記載例

 確定申告書 第三表 適用条文の記載例

​確定申告書の第三表にも、取得費加算の特例を適用する旨の条文 措置法39条との記載が必要です。

第三表 適用条文の記載例

2 相続税の申告期限前に所得税の申告期限がくる場合

相続税の申告期限前に所得税の申告期限がくる場合

 取得費加算は、相続税の申告書を提出していなければ適用できませんが、
たとえば下記のように、相続税の提出期限前に、相続した不動産を売却したために、先に所得税の申告期限が到来する場合があります。
この場合は、取得費加算が適用できるのでしょうか?

相続開始日:令和5年8月1日
相続不動産の売却日:令和5年12月1日
所得税の申告期限:令和6年3月15日
相続税の申告書の提出期限:令和6年6月1日

 更正の請求は、通常5年以内ですが、相続税の確定前による所得税の期間のズレについては、所得税の更正の請求の特例に該当するため、相続税の申告期限から2カ月以内に限り、取得費加算を適用して更正の請求をして税額還付を受けることができます。

手続き
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