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贈与税とは

贈与税とは?

110万円まで非課税

​相続時精算課税は取消不可

 1 贈与税とは

贈与

 人から財産をもらった時にかかる税金が贈与税と言います。
贈与税は、もらった財産の額が年間110万円を超える場合にかかります。

 

贈与税には
暦年課税方式と相続時精算課税方式の2つの課税方式があります。
 
暦年課税方式
1年間(1/1~12/31)までにもらった財産の金額から基礎控除 110万円を控除した残額に税率をかけて計算します。

贈与財産の価額 - 基礎控除額 110万円 × 累進税率 = 贈与税額

相続時精算課税方式
60歳以上の祖父母や父母からの子や孫へ贈与で、精算課税の適用を届け出ることで最大2,500万円 + 110万円 の合計 2,610万円まで贈与税がかからない方式です。

(贈与財産の価額 - 特別控除 2,500万円 - 基礎控除 110万円)× 20%
= 贈与税額 

 

 ■暦年課税と相続時精算課税の違い(令和6年以降)

区分
暦年課税制度
相続時精算課税制度

贈与者

誰でも

60歳以上の祖父母、父母

受贈者

誰でも

18歳以上の子、孫

選択

いつでも

一度選択すれば取消不可

基礎控除

110万円

2,500万円

※2024年より110万円追加

計算方法

(贈与額 - 110万円)×税率

(贈与額 - 110万円 - 2,500万円)×一律20%

相続税の贈与税額控除

納付された贈与税は相続税から控除されますが、

納めすぎた場合は還付されない。

納付された贈与税は、相続税から控除され、

さらに納めすぎた贈与税は還付されます。

相続税の生前贈与加算への影響

相続人に限り、7年以内加算(2024年分より)

※4~7年分については100万円控除

110万円までは加算なし(2024年分より)

贈与税の種類

暦年課税は、
1年間(1/1~12/31)までにもらった財産の金額から基礎控除 110万円を控除した残額に税率をかけて計算しますが、
この税率には、一般税率特例税率の2つがあります。
このうち特例税率の方が税額が低くなります。
2つの違いは以下になります。
 
■特例税率の条件
贈与者:受贈者の直系尊属(祖父母や父母)
受贈者:贈与を受けた年の1/1現在18歳以上

 ■手続き 
特例税率を適用する場合で贈与財産の価額が410万円(基礎控除後課税価格が300万円)を超える場合には、贈与税の申告書以外に下記の書類を提出する必要があります。

  1. 受贈者の戸籍謄本等

  2. 孫の親の戸籍謄本等(祖父母から孫への贈与の場合)
     

■一般税率の条件
 特例税率の対象者以外

【参考】国税庁
No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

■贈与とみなされる財産
贈与される財産は、不動産、有価証券、預貯金など金銭的価値があるものすべてですが、下記のものも贈与があったものとみなされますので注意が必要です。
 

  1. 無償での不動産の名義変更

  2. 無償での株式の名義変更

  3. 無償での生命保険契約の契約者変更

  4. 保険金負担者以外の者が保険金を受け取った場合

  5. 時価より著しく低い価額での売買

  6. 借金の肩代わり

  7. 親族間のお金の貸し借りで返済がされていない時

  8. 同族会社への財産の無償提供により株価評価が増額した場合

※親族間での「出世払い」などは贈与とみなされます。
 

 ■暦年課税(一般税率)の贈与税額 早見表

贈与額(一般)
贈与税額(一般)

110万円

0円

0%

210万円

10万円

5%

310万円

20万円

6%

410万円

35万円

8%

510万円

55万円

11%

610万円

85万円

14%

710万円

115万円

16%

810万円

155万円

19%

910万円

195万円

21%

1,010万円

235万円

23%

1,510万円

410万円

27%

2,010万円

700万円

35%

2,510万円

950万円

38%

3,010万円

1,200万円

40%

特例税率と一般税率の両方がある場合の贈与税の計算
基礎控除後の課税価格を全て特例税率で計算した税額を特例贈与の割合で按分した金額と全て一般税率で計算した税額を一般贈与の割合で按分した金額との合計額になります。
例示
特例贈与財産 400万円 と 一般贈与財産 100万円 の合計 500万円の財産をもらった場合
特例贈与税 485,000円(390万円×15%-10万円)×400万円/500万円=388,000円
一般贈与税 530,000円(390万円×20%-25万円)×100万円/500万円=106,000円
贈与税額 1+2=494,000円

相続時精算課税制度

相続時精算課税方式は、
財産を贈与した時には、2,500万円までは贈与税がかかりませんが、相続が発生した時に相続税で精算しましょうという制度です。
 
■適用対象者
贈与者:贈与年の1/1において60歳以上の父母または祖父母など
受贈者:贈与年の1/1において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人または孫

■適用手続き
相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は、
受けようとする年の翌年の3/15までに「相続時精算課税選択届出書」を
贈与税の申告書と併せて期限内に提出しなければなりません。

注意

  1. 一度選択をすると取消できない(暦年課税へ戻れない)

  2. 贈与者ごとに2,500万円特別控除が使える。


【参考】国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm

【参考】国税庁 No.4304 相続時精算課税選択届出書に添付する書類
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4304.htm

 ■相続時精算課税のメリット・デメリット

メリット
デメリット

■早期に財産を移転できる

■毎年110万円まで生前贈与加算の対象にならない

■収益物件や価値が上昇すると見込まれる財産の贈与には節税になる

■贈与者ごとに特別控除2,500万円が使える

■小規模宅地の特例が適用できない

■一度選択をすると暦年課税方式変更できない

■不動産を贈与する場合不動産取得税がかかる

■孫の場合、相続時に2割加算となる

2 生前贈与がある場合の相続税の取り扱い

生前贈与加算

 相続により財産を取得した方は、相続が発生した場合は、被相続人から7年以内にもらった財産がある場合は、相続財産に持ち戻ししなければなりません。
 また、相続時精算課税制度を適用されている方も、加算の対象ですが、相続財産+相続時精算課税を適用した財産の合計が基礎控除以下であれば相続税申告の提出は不要です。

🔵相続又は遺贈により財産を取得した者は、
相続開始日前7年以内に暦年課税により被相続人から財産をもらったことがある場合は、その期間にもらった財産のその贈与時の価額を相続税の課税価格に加算しなければなりません。

■加算する財産
相続開始日前7年間の贈与財産で、110万円以下の財産や相続開始年分の贈与財産も加算の対象です。
ただし、4~7年前の贈与財産から100万円は控除します(2024年1月分より)。
※相続開始前7年の日は応当日となります。
ex 相続開始日:令和6年7月1日 → 

■加算しなくてよい財産 

  1. 贈与税の配偶者控除を受けている場合の配偶者控除額

  2. 住宅取得等資金の非課税額

  3. 教育資金の一括贈与を受けている場合の非課税適用額

  4. 結婚子育て資金の贈与を受けている場合の非課税適用額


■税額控除
相続税の課税価格に加算される贈与財産に係る税額は、下記の算式より計算された贈与税額が相続税額から控除されます。
算式 
その年分の贈与税額 ÷ その年分の贈与財産の課税価格合計 × 相続税の課税価格に加算された贈与財産の価額 

【参考】国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm

注 意
相続又は遺贈により財産を取得した方で相続開始年に被相続人から贈与を受けた場合は贈与税の申告は不要です。
逆に相続又は遺贈により財産を取得していない方は、贈与税の申告が必要です。

【参考】国税庁
相基通21の2-3 相続又は遺贈により財産を取得しなかった者の贈与税の課税価格
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/10.htm#a-21_2_3

■令和6年度開始より改正 生前贈与加算 

改正生前贈与加算7年

🔵相続時精算課税適用者は、
贈与者が亡くなった時は、
相続時精算課税適用財産から年110万円の基礎控除額を引いた残額を
相続税の課税価格に加算しなければなりません。

ただし、加算した結果、相続税の基礎控除以下の場合は相続税の申告は不要です。
また、相続時精算課税適用財産について納めた贈与税がある場合は、相続税の還付申告をすることができます。

【参考】国税庁
No.4301 相続時精算課税の選択と相続税の申告義務
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4301.htm

 

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